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松浦 巽◆お試し読み

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睡眠薬は恋の味

短編小説。サラリーマンものコメディ。拘束H。
pixivに別バージョンのお試し読みあり
サラリーマンの安藤と成瀬は、高校時代からの親友同士。だが成瀬には1つ悪い癖があり、それについて抗議しようと、安藤は成瀬のマンションを訪ねるが――。原題/ひどい男

*現在「どこでも読書」のみ配信。

▼お試し読み▼


「庶務課の鈴木美智子、知ってるよな?」
 コーヒーを一口飲むと、安藤は単刀直入に切り出した。
「ああ」
 成瀬はすぐに肯定する。
「別れたって?」
「うん」
「なんでだ。つきあってまだ一週間ぐらいだろう?」
「ふられたんだよ。僕には愛がないって」
 淡々と答える成瀬を、安藤は睨むように正面から見つめた。
「おまえとつきあう前に、彼女が俺とつきあってたのは、知ってるよな?」
「ああ、そうだってね」
「一週間前、いきなり彼女から別れ話を出された。好きな人ができたからってな。その相手がおまえなのは別にかまわん。だが……どうしてたった一週間で終わる」
「人の心の問題だからね、それもしかたないだろう?」
「そういう問題じゃない!」
 安藤は握った手でテーブルを叩いた。
「どういうつもりだ、俺の彼女に片っ端から手をつけて、すぐに捨てて! 俺に恨みでもあるのかっ?」



「な、成瀬……」
 安藤は必死に言った。
「理由はわかった。だけど、なんでこうなるんだ。物事には順序ってものがあるだろう? 女を奪うとかめんどくさいことする前に、どうして一言、俺に言わなかったんだ」
「言ったら、おまえは受け入れてくれたか? 無理だろう? それどころか、たぶん友人関係も終わってた」
 成瀬の言うことは、おそらく正しい。いきなり同性から、じつは性的対象として見ていましたなどと告白されたら、つきあいをやめて逃げたくなるのが一般的な反応だろう。
「待て、ゆっくり話し合おう。話せばきっと、何かほかに解決策が――」
「あいにくだが、無駄なことはしない主義なんだ。それに、つかんだチャンスも無駄にしない主義だ。諦めて一回やらせろ」



 夢ではなかった証拠に、体の節々が痛い。とくにあらぬところが疼いて、嫌でもそのときのことが思い出される。
 ――くそっ!
 急に腹が立って、携帯で成瀬に電話をかけた。ようやくつながったと思ったら留守電だった。メッセージを吹き込まずに電話を切ると、立ち上がってバスルームへ向かった。
 会社には欠勤の連絡を入れてあるが、いつまでも休んでいるわけにはいかない。それに、会社に行けばどうせ成瀬もいるはずだ。直接会ったほうが早い。
 だが、翌朝安藤が出社すると、成瀬は欠勤していた。
「成瀬、どうしたんですか?」
 成瀬の部署の顔見知りにきくと、予想外の答えが返ってきた。
「ああ、安藤さん、休んでいて知らなかったか。成瀬さん今日、見合いらしいですよ」
「見合いっ?」



「見ろよ、夜景がきれいだ」
 部屋に入るなり成瀬は、カーテンを開けてのんきに言った。
「そんなことより、早く説明をしろ」
「まあ落ち着け」
 成瀬はテーブルに近付き、用意されていたワインを二つのグラスに注いだ。
「せっかくだから、乾杯しよう」
 安藤は、受け取ったグラスを見つめ、眉間にしわを寄せて言った。
「また何か仕込んでるんじゃないだろうな」
「疑うなら、ほら」
 成瀬が優雅に笑い、二人のグラスを交換する。
「これなら安心だろう?」
 成瀬が飲み干すのを確認してから、安藤はこわごわワインに口をつけた。


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